イサザ

Gymnogobius isaza (Tanaka 1916)

絶滅危惧IA類(CR)

◽️形態

全長は8cmほど。

体はやや側扁し、口は大きく上顎の後端は眼の中央直下に達する。

体側は半透明の淡黄色で腹部は白く、不明瞭な黒褐色斑点が並ぶ。

第一背鰭後半部には黒点がある。尾柄は細く長い。

繁殖期には腹部に黄色の婚姻色が現れ、特に雌で顕著に出る。

◽️分布

琵琶湖固有種で北湖に生息する。

相模湖と霞ヶ浦からも記録があるが琵琶湖から放流されたアユに混入したものとされ、定着はしてない。

◽️生態

琵琶湖の30m以深に生息し、動物プランクトンやヨコエビなどを捕食する。

日中は湖底にとどまり、日没と共に浮上し表層で動物プランクトンを食べ、日の出には再び湖底に戻るという特異な生態を持つ。

3月には成熟した個体は湖岸に集まり産卵の準備を始める。

繁殖期は4月〜5月、オウミヨシノボリなど卵や仔魚を捕食する天敵が活発でないうちにいっせいに産卵する。

繁殖は雄が転石の下に巣を作り雌を誘って産卵し、卵は雄が孵化するまで保護する。

孵化した仔魚は沖に流され浮遊生活を送り、7月上旬ごろから底生生活に入り湖の深部に移動していく。

本種の寿命は1年とされていて産卵後多くの個体は死亡するが、雌のなかには死なずに2年続けて産卵する個体も存在する。

◽️備考

イサザは琵琶湖を代表する重要な食用魚の一つとして、「琵琶湖八珍」に選ばれており、12月〜4月にかけて、えりや定置網で漁獲される。味は淡白な旨味があり、琵琶湖の湖北にはイサザを使った郷土料理が存在しており、佃煮を始め大豆と一緒に煮たいさざ豆、すき焼き風のじゅんじゅん鍋などがある。漁獲量は周期性があって変動するが、漁港付近の道の駅や湖魚専門店などで販売されている。

本種は、数十年周期で豊不漁を繰り返しているがその原因は分かってない。また産卵場所となる湖岸の環境悪化やオオクチバスなどの外来魚による捕食圧などにより生息数は減少しており、環境省レッドリストでは絶滅危惧ⅠA類(CR)に選定されている。また、近年では卵が水カビに侵されて死亡する事例や地球温暖化による暖冬で冬期の琵琶湖の全層循環が抑制され、湖底が酸欠状態になり本種を含む琵琶湖深部に生息する生物が死亡する事例が問題となっている。琵琶湖の貴重な食文化を守るためにも本種の生息環境の再生が必要である。